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扁桃肥大・アデノイ


〈扁桃ってなに?〉
ノドは空気・飲食物の入り口で、細菌・ウイルスも入ってきます。これを防御するためにノドをとりまくように、口蓋扁桃・アデノイド・舌根扁桃・リンパ濾胞・咽頭側索などがあります(ワルダイエル輪)。これらを扁桃組織と呼んでいます。しかし、一般的には扁桃といいますと、ノドの両脇にある口蓋扁桃のことを指します。アデノイドは鼻の一番奥で、ノドとの境目(上咽頭)にあります。

〈どんな病気でしょう?〉
扁桃組織の全てが炎症の場になり得ますが、扁桃炎というと口蓋扁桃の炎症を指すことがほとんどです。同様に扁桃肥大と言えば口蓋扁桃の肥大(大きくなる)のことを指します。アデノイドも炎症の場になりますし、増殖する(大きくなる)ことがあります。

〈どんな症状でしょう?〉
扁桃炎では発熱・痛み・扁桃の脹れ・膿栓(扁桃に白いポツポツ)の付着があり、これを繰り返すことがあります(習慣性扁桃炎)。扁桃炎ではまた病巣感染といって、慢性扁桃炎のために全身に異常な免疫反応が起こり、不明熱・リウマチ熱・IgA腎症・掌蹠膿胞症(しょうせきのうほうしょう)・慢性の湿疹・各種免疫疾患の原因となることもあります。
扁桃肥大・アデノイド増殖症ではイビキ・睡眠時無呼吸症の原因にもなり、アデノイド増殖症は副鼻腔炎(蓄膿症)や滲出性中耳炎を悪化させたり長引かせたりします。鼻呼吸が障害され、頭重感や注意力散漫をきたしたり、アデノイド顔貌といって口を半ば開け、顔の筋肉がゆるみ、間延びした顔つきになることもあります。

〈治療は?〉
扁桃炎は通常抗生剤で治療します。扁桃肥大・アデノイド増殖に対しては適応があれば手術になります。

〈手術はどんな時にするのでしょう?〉
習慣性扁桃炎では、4歳以上・年間4回以上を目安にしています。睡眠時無呼吸や病巣感染があるときにはなるべく早期に手術したほうがよいと思います。
アデノイドは滲出性中耳炎の原因となっていることもありますので、中耳炎の治療のために手術することもあります。
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〈手術をしてもだいじょうぶ?ほんとに必要?〉
『扁桃腺をとると免疫が弱くなりませんか?』との質問をよく受けます。確かに2歳までは上気道粘膜免疫の獲得に大切な時期ですので、特に慎重に考える必要がありますが、基本的には免疫には影響しません。
『大きくなれば治ると聞きましたが?』とおっしゃるお母さんもおられます。確かに思春期になると扁桃炎を起こす回数は少なくなる傾向があります。しかし、その間の発熱・咽頭痛の反復や社会生活(学校・幼稚園)の障害を考慮して判断する必要があると思います。それともうひとつ、大人になってからよりも小児期の手術の方が簡単で、合併症としてもっとも多い術後出血の危険も低いと思います。

〈学校健診で指摘を受けた方にひとこと〉
大前提として、扁桃やアデノイドはただ単に大きいというだけで治療(手術)することはあり得ません。習慣性扁桃炎・病巣感染・イビキ・睡眠時無呼吸滲出性中耳炎・副鼻腔炎などが通常の治療で治りにくく、かつ、扁桃・アデノイドがその原因となっている場合に手術を考慮します。学校健診では、問診をとりながら行うことは不可能で、その時診たままの所見で判断しますので、幼稚園や小学校の低学年ではいきおい指摘を受ける子達が多くなります。でもあわてないでください。耳鼻科を受診する前に、上記の症状があるかどうかをまず見てあげてください。『紙をもらったからとりあえず来ました。』はやめましょう。二度手間になり、時間とお金がもったいないです。