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声帯ポリープ

発声について』も参考にして下さい。

〈どんな病気でしょう?〉
声帯の振動する場所に膨らみができ、声が悪くなります。脹れは限局しており、ほとんどが片側だけですが、期間が長かったり、程度が強くなりますと、反対側にも変化があらわれます。

色調の赤い小さなポリープ(矢印)が見られます
対側の声帯粘膜に軽度の変化が出ています
〈症状は?〉
嗄声(声がかれる)が主症状です。声の質は、空気がもれる感じで、やや低音になります。声が途中で止まってしまうこともあります。
非常に稀なケースですが、かなり大きなものになると、呼吸困難を起すこともあります。

〈ポリープがあるとなぜ声が出にくいのでしょう?〉
邪魔者があるので声門がうまく閉じない。さらに、振動体である声帯に邪魔者がぶらさがっていて、粘膜波動を壊してしまいます。

〈ポリープはどうしてできるのでしょう?〉
まず、声の酷使や炎症により粘膜の充血がおこります。こういう状態で大声の張り上げなど声帯の激しい機械的刺激が加わると粘膜下の血管が破綻し血腫ができ、膨れてきます。この状態で十分な安静が得られれば血腫が吸収される可能性もありますが、かまわずに大きな声を出し続けますとポリープになります。

〈どういう方に多いでしょう?〉
病因にも関わりますが、発声法が悪く、声を酷使する方、喫煙される方に多い傾向があります。

〈診断は?〉
声を聞けばだいたい予想は付きますが、見ることが基本です。内視鏡検査がもっとも有用です。硬性鏡と撓性鏡(軟性鏡)がありますが一長一短があります。ストロボスコープを行いますと粘膜波動が観察でき非常に有用です。

〈治療は?〉
まずは声の衛生です。声の酷使が原因ですので、保存療法・手術療法のいずれを選択するにしても声の出し方が悪いと治らないか再発しやすいと言えます。
新鮮例(なったばかり)では、まず保存療法がよいと思います。沈黙により無用の刺激を避けます。また、炎症が契機ですので、吸入や炎症を抑えるお薬を使います。
なおらない場合は手術ということになります。基本はラリンゴマイクロサージェリー(顕微鏡下の手術)でポリープを切除することです。ただし、全身麻酔が必要です。局所麻酔では、超ベテランの先生方は、喉頭鏡(反射鏡)を用いて喉頭鉗子でとっておられたようですが、今では名人芸といえます。極小さなポリープでは、撓性鏡(電子内視鏡やファイバースコープ)の中を通せる鉗子で鉗除する方法もあります。また、撓性鏡の画像をモニターしながら、喉頭鉗子で切除する方法も行われており、かなり良い成績をあげている施設もあります。ちなみに術後は絶対沈黙の期間があります。期間は施設・医師の治療方針によりますが、概ね1週間と考えてください。

〈院長からのひとこと〉
治療の基本はいかに声帯に負担をかけないようにするかです。声を出さないのもひとつの案です。でも社会生活を営む上で声を出さないわけにはいきませんので、正しい発声を心がけることです。炎症が契機になりますので、カゼをひかないようにすることも重要です。手術後の音声は良くなりますが、同じ条件が揃えばやはり再発します。手術はあくまでリセットをかける行為であることをおぼえておいてください。ポリープを作らないようにするのは患者さん自身です。
 鑑別疾患としてもっとも重要なのは癌です。通常は見ればほとんど判別できますが、まれにポリープの診断で切除し病理にて癌の診断が下ることがあります。ですから、喉頭癌のハイリスクグループでは、診断の意味も込めて積極的に切除するほうが良いのではないでしょうか。

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