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鼻出血(はなぢ)

〈どんな病気でしょうか?〉
読んで字のごとく、鼻からの出血です。一旦鼻血がでだしたら、本当に続いて出やすいし心配と思います。これはひとつの疾患ともいえますが、ある種の疾患の一症状(症候性鼻出血)としても重要です。症候性鼻出血に関しては、どういった疾患で鼻出血が見られるのかを紹介するに留め、鼻出血についての一般的な注意点を中心に話を進めたいと思います。

〈原因は?〉
さて、鼻血は一旦出ると何度もよく出ます。とてもうっとうしいし、不安になります。原因は局所要因・全身要因とさまざまですが、どういった原因にしろ鼻の血管が破れなければ鼻血は出ず、止血・凝固機転が働けば止まります。したがって、血管が破れやすい状態、止血機転が働かない状態では鼻血が出やすく、止まりにくいということになります。ほとんどの場合がこすったり指を入れたりといった機械的な刺激です。止血・凝固機転に問題があることはかなり少ないのです。(しかし重要です)

〈鼻血が出たらどうしましょう〉

止血は出血部位を圧迫することが基本です。でも、出血部位がどこかは、鼻の中なので判りませんよね。ご心配なく。出血場所はそのほとんどが鼻の真中の壁の前のほうで、鼻の入り口から1〜1.5cmくらいのところ(キーゼルバッハ部位)ですから、まずは
1. 鼻翼(鼻のやわらかい部分)を押えるようにつまみます。(5〜10分)

2. これで止まるようなら何も詰めないほうがいいと思います。

3. つまんでいてもノドに血が回り込むようなら次の手です。

4. ティッシュや綿花を小指くらいの太さににして詰めます。(1.5〜2cmくらい)

5. お化粧用のカット綿が手軽です。

6. 軟膏や唾液で湿らせると入れやすく、抜く時に再出血しにくく、痛みもましです。

7. 鼻翼を押えるようにつまみます。(5〜10分)

8. 鼻からノドに流れ込むものは必ず吐き出します。


 べからず!
1. 仰向けにねない、上を向かない。ノドに血が回ります。
2. 血は飲み込まないこと。気分が悪くなります。

圧迫してもノドに血が回り込むようなら、奥からの出血かも知れません。耳鼻科で止めてもらいましょう。

〈予防は?〉

とりあえず鼻を刺激しないこと。夏は暑いところに長くいないようにすること。冬は鼻の中が乾燥しないようにすること。マスクも有効。鼻の乾燥を防ぐために軟膏を塗ることもあります。血圧の高い方は、急に踏ん張ったりしないこと。


〈どういう病気に多いでしょう?〉

ここでは、鼻出血を来たす疾患を簡単に紹介します。

[局所要因]
炎症 アレルギー性鼻炎・鼻前庭炎・副鼻腔炎
アレルギー性鼻炎では鼻が痒くなり『鼻いじり』が多く見られます。アレルギーの治療を行うと小児では8割以上で鼻血が止まってきます。また、炎症で粘膜が荒れて血管が脆くなり出血し易くなります。
腫瘍 血管腫・血管線維腫・鼻副鼻腔悪性腫瘍(癌・悪性黒色腫)
圧迫止血では止まりにくいことが多く、頻回に繰り返します。
血管異常 オスラー病
血管の形成異常があり、出血傾向があります。治療に難渋します。
薬剤性 アレルギー性鼻炎に用いられる点鼻薬の副作用に鼻出血があります。

[全身要因]
高血圧 よく出ます。血圧のコントロール(安定させる)が重要です。
血液疾患 再生不良性貧血・特発性血小板減少性紫斑病・白血病・血友病など
肝疾患 肝機能障害による凝固異常
薬剤性 抗凝固剤(心筋梗塞・脳梗塞など)